無敵戦隊シャイニンジャー

MissionExtra3:新連載!?「無敵戦隊ジャイニンジャー」

 シャイニンジャープロジェクト終結から数ヶ月たったある日、地球連合シャイニンジャー秘密基地(現在は閉鎖)に、かつての戦士達が集められた。シャイニングブレスの時間表示を見たレッドが小走りに廊下を駆ける。思ったよりも時間を食ってしまった。非常召集を受けた際、共にいた美沙が拗ねたのだ。
 学食で、さあこれからご飯を食べましょうと言ったタイミングで鳴るブレス。あまりの間の悪さに、美沙は愕然とした。
「壊れたんじゃないですかぁ」
 と頬を膨らませる。ショートカットだった髪が伸びて外見はずいぶん大人びてきたけれど、中身は変わりないようだ。
「ん、でも行って来るよ」
 レッドが腰を浮かせる。その裾を美沙が掴んだ。
「美沙ちゃん?」
 むっとした顔をした美沙が、小さく下を向く。レッドはその頭を軽く撫でた。
「ごめん、すぐ戻るから」
 結局美沙の機嫌は直らないままだった。まだ怒っているだろうかと思案しながら基地内を駆けるレッドの視界に、見慣れた姿が映った。相変わらず仕立ての良いスーツに、きちんとした身なり。典型的なサラリーマンスタイルのブルーが、ブラックと立ち話していた。
「ブルー、ブラック」
「遅いですよ」
 全く、とブルーが呆れた。口調の冷たさまで変わりない。
「お、久しぶりだなぁ! 元気だったか?」
 笑い飛ばしたブラックがレッドの首に腕を回す。足元を見たレッドの視界に、ブラックの草鞋が映る。黒の作務衣に数珠、いつものブラックの格好がなんだかひどく懐かしい。
「うん、二人も」
 レッドが微笑む。
「しかし、なんの用なんでしょうね」
 ブルーが不思議がる。
「どうせ大した用じゃないんだろ」
 可可、と笑ったブラックがメインルームの前に立った。シャイニングブレスに反応したシステムが開錠し、空気の抜ける音と共に扉が開く。
 いつもはせわしなく空気が動いていたメインルーム。かつてのメインモニターやオペレーション機材には、シートがかけられていた。よく三人で座っていたソファも机も、うっすらと埃が積もっている。ここでナナがよく茶を入れてくれた。ステファンも宮田もメインルームに顔を出した。当時は暇なのかといぶかしんだこともあったが、あれは自分達のために時間を作ってくれていたのだと今ならわかる。馬鹿らしい会話、ちょっとした諍い、ここで過ごした思い出が次々に浮かんだ。それらが駆け去った後のひっそりとした静寂が、シャイニンジャープロジェクトが本当に終わったのだと三人に告げていた。
「よく来てくれた」
 突然の声に、三人は思わず姿勢を正した。
 メインルームの奥、シャイニンジャープロジェクト最高責任者の席に、長官が座っていた。後ろに撫で付けた白髪混じりの黒髪。背筋を伸ばし、ゆるぎない姿勢で軍服を着こなしている。変わらぬその姿に、レッドが笑みをこぼす。
「お久しぶりです」
 うむ、と長官は頷いた。
「なんの用です?」
 やや不快さを滲ませてブルーが言う。
「またネオロイザーが出たってか?」
 ブラックが笑った。
「その通りだ」
「はい?」 長官の返事に、ブラックの笑いが止まる。
「新型未確認生命体――ネオロイザーの存在が確認された。ついては新たなるシャイニンジャープロジェクトが起動する」
 重々しい口調で長官が告げた。
「なんだって!」
 驚くレッドをブルーが制した。
「また私達に戦えと。そういうことですか?」
「いいや」
 長官は言葉を区切った。額に汗が滲む。
「新たなプロジェクトは、コンセプトが変更されている。受けるか受けないかは、お前達の自由だ」
「コンセプト?」
 ブルーが眉をひそめる。
「新たなる戦隊名は、無敵戦隊ジャイニンジャー」
「じゃ?」
 ブラックが思わず聞き返した。レッドはただ呆然とした顔で長官を見ている。冷や汗が己の額を流れるのを自覚しながら、長官は告げた。
「自己利益を徹底的に追求する俺様戦士、それがジャイニンジャーだ。決め台詞は『ネオロイザーのくせに生意気だぞう』。パクリ、いや、オマージュ臭満点の戦隊だが、やってくれるだろうか?」
 重く深く暗いため息をついた長官が、三人を見渡した。気のせいだろうか、白髪が増えた気がする。腹に手をやっているのは、胃痛がするせいだろう。
「ギャラ次第です」
 ブルーがすかさず答える。
「面白そうだから、俺はいいぜ!」
 ブラックが可可と笑い飛ばした。隣のレッドが、わずかに唇を噛み締める。
「オレは……いやです」
 レッドは、ためらいながらもはっきりと拒否した。

 レッド拒否により撮影不能!
「無敵戦隊ジャイニンジャー」は無期延期となります。あしからずご了承下さい。


【無敵戦隊シャイニンジャー:新連載!?無敵戦隊ジャイニンジャー・完】
2006.4.1.
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